脳の構造

(脳の三層構造)

  

 

 なぜ「脳」なのか?

 

一般的に「脳」というと、学校でのお勉強・考えること・記憶すること・計算することなど、学力に関する働きをするところだと思いがちです。

 

そして最近では、脳を活性化させよう!

などどいう事をよく聞きます。

 

ところが、その時の「脳」は、前頭葉などの大脳のことだけを指しています。

これは脳の一部なんです。(大事な部分ですが・・・)

 

この前頭葉だけを鍛えたのでは、バランスが悪く頭でっかちになってしまうのです。

つまりバランスの悪い人生になってしまうということです。

 

 

実際に脳のことを調べていくと、かなり複雑で役割は多岐にわたっていて、心や身体と密接に結びついているということが分かります。

 

手足や、内臓を働かせたり休ませたり、コントロールする「身体」に関わる役割や、嬉しい、楽しい、頑張るなどの「心」のコントロールをする役割にも関わっていることが分かっているのです。

  

「脳・心・身体」の三つのバランスがとれていることが大切なのです。

そのバランスが崩れると、眠れない・食べられない・笑えない・思考が偏るなど輝いて生きるとは逆の方向へ行ってしまう危険性に陥ってしまいます。

 

 「脳」は複雑極まりまない・・・

 

私たち人間の脳に、ワニやウマと同じ脳も住んでいた!

 

さらに、このワニやウマと同じ部分の脳は、人間も生命を維持するために必要なとても大事な機能を担っていたのです。

 

驚きです。

 

でも、この「脳の構造」を理解すると、自分の習慣や癖を変えやすくなったり、思い通りに自分を動かせるようになります!

 

人生が変わります!

 

具体的に、1960年代に提唱された「脳の三位一体論」という仮説で、

「人間の脳は、太古の脳の基本的構造の上に、地層のように次の脳が付け足された形で進化して来た」という理論があります。

 

この仮説では、

 

・生きるための爬虫類脳/(反射脳)ワニやトカゲなど・・・原子爬虫類

・感じるための哺乳類脳/(情動脳)・・・馬や犬など・・・旧哺乳類

・考えるための人間脳/(理性脳)・・・急速に発達した・・・新哺乳類

 

と分類されていて、私たちの脳は、人間の進化の歴史に沿って、高度な機能順番に獲得してきたとされています。

 

ただし、「脳の三位一体論」は幻想だとして2000年以降の比較神経学者よって否定されています。

 

ですが、脳の構造・特徴を理解しやすいモデルであることから、

「この指摘を理解した上で、人間の性質を学び、有効活用していきましょう!」というのがここでの趣旨です。

 

もしあなたが、自分についての理解を深めたなら、3つの脳の違いについて知っておいてくださいね

 

3つの脳の特徴から、人間の三大欲求も分かります。

 

それは「生きたい・関わりたい(感じたい)・成長したい」です。

 

アメリカの脳進化学者ポール・D・マクリーン博士によって提唱されました。

「人間の脳は、長い生物進化の歴史と生命のリズムを内蔵している。」言っています。

 

 

 

 脳の三層構造

 


爬虫類脳:(反射脳)

ヒトでは頭蓋骨の一番奥深くの芯の部分です。生きるために絶対必要な脳です。

 

自律神経の中核である脳幹、大脳基底核、脊髄で成り立っています。

多くの脳神経の通り道であり「脳の要」です。

 

  

役割は主に、生命維持や本能を司り、交感神経や副交感神経をコントロールしています。

    

無意識で行っている心拍・呼吸・姿勢の維持(立つ・歩く・走る・座るなどの機能)など自律神経の働きや、体温調整、食欲、性欲など、生命の維持ための最低限必要な機能を担っています。

 

他にも、あいさつ・睡眠欲・支配欲などもこの領域の働きとされています。

そして、危険を察知したときに反射的に体が反応するのも、この脳の領域です。

 

また、縄張りに対しての防衛本能もあります。ですが、生きるために必死なので、自己中心的で、本能的目の前の短絡的な欲求しか頭にありません。

 

男性が狩りに出かけるという原始的な時代のことです。

残された女性はと言いますと、子育てのための場所に残り、気候の安定化と共に種まきや収穫などの農作業を自然発生的に行っていたのではないか?

と考えられます。

 

つまり、文明を作ったのは女性だと・・・

 

さらに、子育ての場所を守るために農産物を利用して壁や囲いを作っていたのではないかとも推測されます。

 

 

反射脳は新しい行動が嫌いです!

 

成長と共に、無意識的に周りを真似て、同じことを繰り返し、それを習慣にして日常行動をパターン化しいます。

 

代々受け継がれてきた記憶に満ちていて、古い記憶に束縛されています。

 

つまり、「過去の経験にこだわり、新しいことは嫌い」「安全でいるためには、今までと同じことをしておけば良い」という性質があるということです。

 

しかし同時に、危険を察知するという直感も司っています。

 

その直感をどう受け取り、行動に移せるかがポイントですね

 

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哺乳類脳:(情動脳)

扁桃体、海馬体、帯状回などが含まれる大脳辺縁系で成り立っています。

 

快不快に結びついた「泣き・笑い・アソビ」などから発生したと思われる

「喜び・愛情・怒り・恐怖・悲しみ」などといった衝動性の感情をコントロールしています。

 

情動というのは、超動物的な「快・不快」「喜怒」などの感情の働きのことです。

例えば、敵が来た時の、怯え、怒り、倒さなければいけない衝動が起こるような原始的な感情です。

 

この情動を司るのが大脳辺縁系なので、この部分を「心の脳」とも言われています。 

 

さらなる特徴は群れで行動することです。

情動脳によって得られる愛情は、自分と近い遺伝子を継承する確率を高めることに役立ちます。

子育てをする集団行動や、子供の保護という母性的欲求・本能の源泉です。

 

スキンシップは子育て中の情動脳の発明です。

 

人をいつくしむ愛情は、この瞬間から生まれたと推測できますね

何しろ、生命の誕生という一大事ですから・・・

 

コミュニティーを築いたり、その中で自分を重要な存在と思わせたい事や、権威に弱い性質もこの脳の影響かもしれません。

 

結果として「好き・快を求めるため、関わりたい気持ち」「嫌い・不快を避けるために関わりたくない気持ち」を生み出します。

 

また、情動脳は感情のほかに消化器官を中心とする内臓の働きも統御しているので、内臓脳とも呼ばれています。

 

感情が行動や言葉で解放されずに心身のストレスとして残った時、消化器官に影響を与えてしまうことがあります。

 

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人間脳:(理性脳)

この部分は、ヒト以外の動物はほとんど発達していません。

ヒトがヒトとして進化するうえで獲得した能力のほとんどは、この大脳新皮質にあります。

 

その大脳新皮質は、右脳と左脳の二つの部位から成り立っていて、認知・言語・学習・創造的思考・倫理・空間把握能力などをコントロールしています。

 

さらに、視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚と密接に関係していて、この器官は唯一外部世界(宇宙)に向けられた器官です。

 

つまり、日常の中で見たり聞いたりしたデータを、瞬時に反射脳や情動脳に送り、相互作用をしながら、本能や「快・不快」「好き嫌い」などの感情と組み合わせたすべてを無意識的に、脳に記憶しているのです。

 

人間が人間らしくあるための考え方や行動「創造的なことをしたい」「目標達成したい」「成長したい」を起こさせる独自の機能や、高度な心もこの脳に存在しています。

 

 

そして、「良し悪し」「損得」を考えるのもこの領域です。

例えば、「甘いものは好きだけど、ちょっと控えています。」というのは、理性脳のなせる技ですね

 

 

 

 3つの脳のまとめ

 

3つの脳の特徴から、人間の3つの欲求が分かります。

 

「反射脳」⇒「生きたい」

「情動脳」⇒「感じたい・関わりたい」

「理性脳」⇒「成長したい」です。

 

人間の進化が速すぎたために、3つの脳がうまく連動できずに、多くの人が苦労しています。

  

大きさを比較すると、反射脳と情動脳を足した物より 理性脳が大きいです。

ですが、影響力を見ると反射脳・情動脳が、理性脳よりはるかに大きいです。

 

私たちの日々の行動のほとんどを、反射脳・情動脳に支配されているといっても言い過ぎではありません。

 

現代でも、人間にとっての日々の最大関心事、例えば配偶者や事業のことなど最終的に選び、決めるのは反射脳の直感と情動脳のフィーリングです。

 

反射脳から理性脳に伝えられて、意識して、分析するのでは遅すぎるのです。

 

つまりは、理性脳だけでは情報処理ができず、常に、反射脳や情動脳と連動しなければならない状態にあるということなのです。

 

対立してしまうと、このままで変わりたくない本能や感情が勝ってしまうということです。

 

例えば、「頭でわかっていても行動できない」状態に・・・

成長したいという思いを打ち消してしまいます。

 

3つの脳は切り離して機能することが出来ないのです。 

 

 

ただ、理性脳による予測機能の延長線上に「未来の記憶」なるものが存在しそこには未来の希望や理想が入ってきています。

 

その希望や理想が、反射脳や情動脳の行動にも反映されています。

 

 

目標達成したいのであれば・・・

 

視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚など外部世界から入ってくるデータ(未来の希望や理想)を目標イメージのものにして、反射脳や情動脳を心地よい状態にしておき、良い相互関係を築くことなのです。

 

 

反射脳と情動脳は言葉を持っていないために「沈黙脳」と呼ばれています。言葉で表現するには、理性脳が必要なのです。

 

ですので、反射脳・情動脳・理性脳の三位一体をバランスよく調和した状態しておくことがとても大事です。

 

 

思うように伝わらずに、イライラしたり、怒りが込み上げてきたり、落ち込んだり・・・

 

はたまた、考えて判断したことと実際の動きが違うのは、とてもつらいことですから・・・

 

周りか「どうしたの?」」「なんでできなかったの?」なんていわれたり、思われては心が折れてしまいます。

 

そういうことは避けたいですね

 

 

マクリーン博士も「この3つの脳が同居していることが人間の苦悩である」と言っています。

そのため、理性脳が反射脳と情動脳をうまくコントロールできるかが重要になります。

 

ところが、その理性脳は反射脳や情動脳と密接にかかわって、強く影響を受けています。

 

人間の苦悩を取り除き、3つの脳を、より良い未来へつなげるためにはどうしていけばよいのでしょうか?

 

それが出来れば、思い通りの習慣が身に付き、目標を達成したり、理想的な日々にすることができ、人生が変わってきます。 

 

 3つの脳、すべてに〇〇提案【悪用禁止】

 

反射脳は、本能的に欲しいものを受け取り、欲しくないものを遠ざけます。

情動脳は、好きなものを受け取り、嫌いなものを遠ざけます。

理性脳は、判断的に良いもの・利益になるものを受け取り、悪い物・不利益を遠ざけます。

 

つまり、妻が良かれと思って、夫や子供に直して欲しい言葉や行動を指摘しても、それを聞いた相手はそのことが心地よくなければ、その指摘や妻を遠ざけてしまうということです。

 

それでは残念ながら、あなたの思いは伝わらず、何も解決しません。

 

 

そこで、知恵(理性脳)を使って、上手くいって幸せで輝いている結果をイメージし、それを導き出す言葉を探し、気持ちよい時を選び、フラットな状態で伝えるということです。

 

でもそれをするには「自分がいつも心地よくいる」を心がけることが大切です。

脳を気持ち良い状態にしておくことですね

 

 

 

※参考文献

・「三つの脳の進化」ポール・D・マクリーン著(工作舎)

・健康管理士専用教本(非売品)